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踏み出す覚悟を

 うすぼんやりとした明かりがカーテン越しに差し込んでくる。
 時計を見れば、夜明けを少し過ぎたあたり。
 ――うん。
 ようやく冷めてきた頭でコスモスは現状把握に努める。
 見慣れていて当然の自分の部屋。当然、一人きり。
 枕元にあるのはプリムから進められた小説と、規則的に動く時計。
 鼻をくすぐるのは、最近寝つきが悪い自分のためにメイドが調合してくれたポプリの香り。
 どくどくと激しく脈打ってきた心臓がだんだんおとなしくになるにつれて、気分も落ち着いてくる。
「うん、夢ね」
 確認するように呟いてようやく一息をつく。
 そうそういくらなんでも、ありえないわよねーなんて思いながら、コスモスはばたりとベッドに倒れ伏した。
 それから思い出す。ありえなくないことはないのか、というか、あったわ。
 ――迫られる夢なんて心臓に悪いったらない。
 枕に顔を押しつけつつ唸ることしばし、気が済んだのか、ごろんと仰向けに寝返りを打つ。
 まだ起きるには早いが、もう一眠りするには遅い。だから時間をつぶすしかないのだけれど、どうにも夢のインパクトが強すぎて振り切れない。
 夢占いなんて誰が見るか、見てたまるか。無意識下の願望とか出たら目も当てられない。
 でもなんで今更になって……小説か。プリムの好む甘い恋愛小説。こんなものに影響される性質じゃないと思ってたけど。
 それかあれか、昨日プリムに散々からかわれたからか。
 うだうだと考えつつ、もう一度寝返りを打つ。
 もしくは――あの時のことが結構ショックだった、とか?
 知ってる相手に怯えて逃げられるのは、そりゃあショックじゃないとは言わないけれど。
 唸ってみても何も変わらない。息を吐かなければ、吸うことができないように、変えたければ自分から働きかけるのが手っ取り早い。
「あたしからっていうのが癪だけど」
 そうはいうが、条件的に選びようがないのは彼の方だろう。
 とりあえず思い立ったが吉日。先ほどまで転がっていたベッドから降りて、時差を計算する。
 覚悟を決めたなら、あとはもう動くのみだ。

いつも決めるのは彼女のほう。
前作書いた段階では、こんな風に話が転がっていくとは思いもしませんでしたわー。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/