触れた瞬間
「いたっ!」
小さな悲鳴。同時に近づいていた手が離れる。
指と指とが近づいたら、まるでつなぐように一瞬走る光。
でもその光のせいで返って距離は開いてしまう。
ばちっていったの、なんで?
静電気ですよ。
せーでんき?
小さい頃教えてもらったことによると、私は『帯電体質』らしい。
特に冬は、服を脱ぐときもバチバチいうし。
結構痛かったんだろう。
彼女は伸ばしていた手を戻し、逆の手でさすっていた。
私の体質だから仕方ないにしても、ちょっと寂しい。
まるで近づくなっていわれてるみたいな気がして。
でも、そんな気持ちは吹き飛んだ。大きな衝撃とともに。
「ポーリー……」
疲れたような声は気のせいじゃない。思いっきり抱きつかれたんだから仕方ないのかもしれない。
首にかじりつくように腕を回して、肩を震わせて泣いている姪っ子。
「ご……っく……なさ……っ ごめ……っ」
とても小さな声で、言葉にはなっていないけれど謝り続けるポーリー。
行動は小さな頃と変わってなくて、それでも衝撃は大きい。
もう小さな子とは呼べないし、見た目なら私と同じ……いや、彼女のほうが大きいのだから。
抱きついて泣きじゃくる彼女の頭越しに、懐かしい顔ぶれ。
いいたいことはたくさんあったけれど。
言葉にしない代わりに思いっきり抱きしめかえした。
お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/
月の男の子と星の女の子で書こうと思いましたが、それは本編にとっておこうと。
帯電体質に冬はきついものがあります。