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ナビガトリア

一生勝てない

 何度そう思ったか分からない。
 きっと、いつまでも思い続けることだろうけれど。

 記憶どおりの雪色の銀髪。空の青と森の緑の瞳。
 見慣れない青いローブに身を包んでいるその人は、別れたときとあまり変わってないように見えた。
 おっとりしている外見とは裏腹に、聡くて強い師匠。
 一通りの話をして、今思い出したかのように彼女が言った。
「お客様なのにお茶もお出ししませんでしたね」
 今淹れますからねとコスモスたちを部屋に招いておいて、何故か唐突に立ち止まる。
「姫?」
 コスモスの怪訝そうな呼びかけに、くるりと体ごと向き直って微笑んだ。
「おかえりなさい」
 思わず息を呑んだ。
 もう二度と言われないと思っていた言葉。
 コスモスに言った訳じゃないし、無論薄に対するものでもない。
 分かっていても、体がなくても声が出るのに時間がかかった。
『……ただいま戻りました……』
 もう二度とすることは無いと思っていた返事。
 何とか絞り出した声は、やっぱりどこかかすれていた。

「やっぱりアポロニウスって弱いわね」
 ひどい言い草で、しかも確認するように言わないで欲しい。
 暇だからと人の鍛錬風景見学しておいて、それはないだろうコスモス。
 恨みがましい視線にも、彼女はまったく動じていない。
 とはいえ、私も反論しづらい事は確か。
 今日だけで、こうやって背中を地面に打ちつけた回数が両手を越えた。
 投げ飛ばした犯人こと師匠は手持ち無沙汰に私が起き上がるのを待っている。
「ほらほら、頑張ってお師匠様を越えなきゃ」
 無責任に煽るコスモスはとても楽しそう。言ってる事は鬼だが。
 大体この師匠を倒そうと思ったらどれだけの軍が必要か。
 でも……彼女に応援されるとやる気が出てくるっていう自分も単純だ。

 自分が強いなんて思っていないけれど。
 一生勝てそうにない相手がどんどん増えていく。

ナビガトリアで「一生勝てない」といったらこの師弟。弟子は勝てない人が増えてってます。
主に精神面の鍛錬をつむ事が重要かと(笑)。その辺きっと母親に似たんでしょうねー(笑)

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/