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ナビガトリア

やっと気付いた

 ふっとため息が出た。
「もう、最初からそのつもりでしたのね」
 ちょっとくらい文句を言いたくなっても仕方ないと思う。
 鏡に映る自分の顔は不満たっぷりで、でもあきらめた笑い顔。
 きっとこれから、コスモスは苦労しますわね。
 でも、わたくしだって被害者ですもの。文句はおば様に言ってもらいましょう。

 最後に会ったのは今からどのくらい前だったか。
「おば様お久しぶり!」
 近所に住んでいたおば様に、わたくしは小さいころから可愛がっていただいていた。
 そう、まるで本当のおばあさまの様に。
 その日もいつものように紅茶を入れてもてなしてくれた。
「本当にきれいになったわね、プリム」
「もうっ おば様ってばお上手なんですから」
 わたくし知ってますのよ。おば様だって娘時代にたくさんの求婚者がいたって。
 大学に入ってからは寮生活で、めったに家に帰れなかったからたくさんお話をした。
「アレは大切にしてもらえてる?」
 ふと思い出したように聞かれた言葉。
 ええと頷いて紅茶を飲む。
 おば様からいただいた、緑の石のイヤリング。
「でもおば様意地悪ですわ。片方ではつけることできませんもの」
「ふふ。おそろいはいやかしら?」
「そんなことはありませんけど」
 なんだか、うまく煙に巻かれた気がしますわ。
 わたくしとおば様で片方ずつ持つというのも悪くはないのですけど。
「ごめんなさいね。でも、両方預けてしまうとねぇ」

 困ったように笑うおば様を覚えている。
 今なら確かに思いますわ。
 預けられたのが片方だけでよかったと。
 両方でしたら、今頃わたくし、どうなっていたか分かりませんもの。
「本当に人が悪いんですから」
「何か言った? プリム」
「いいえ?」
 にっこり笑って否定をすれば、コスモスはそうといっただけでカップを傾ける。
 彼女に習ってわたくしも紅茶を一口いただく。
 香り、水色、味も申し分ない淹れ方ですわね。
 紅茶を入れた主を見て、またため息が漏れそうになりますわ。
 りんごの様な赤い髪と緑の瞳の殿方は、不満そうにコスモスにおかわりを入れてますもの。
「何で私が」
「文句言わない。
 プリムがいなかったら真人間に戻れなかったかもしれないのよ。
 しっかり恩返しなさい」
「それはそうだが」
 そんなやり取りをするふたりはとても仲がよさそうで。
「わたくしばかり損してますわ」

事情説明をかねて再会したプリムとコスモス。
プリムはうまくいってよかったと思う反面、蚊帳の外で寂しかったでしょうね。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/