071:出口 (91文字)
探して彷徨って足掻いて、もういい加減見つかればいいのに。
本当にあるのだろうか。見失ってしまったのだろうか。それとも、自ら閉ざしてしまったのだろうか。
もし、そうならば。作ってしまおう。
072:信じていたのに (110文字)
代表的なところでサンタクロース。不思議な国での冒険や、夢の国の物語。
それらを無邪気に語る子ども達へと厳しい言葉を飛ばしたのは先ほどの事。
あんなに大好きだったのに、いつの間にそれらを馬鹿にするようになってしまったのだろう。
073:空を飛べたら (102文字)
鳥に憧れた事がある。
地面に縛られるのは何かと不自由だから、どこにでも行ける翼を持った彼らに憧れた。
昔と違って今は様々な乗り物で地を駆けることができる。
それでも憧れが薄れないのは、自由の象徴だからだろうか。
074:波紋 (72文字)
同心円上に広がるさざ波。ゆるゆると水面に広がる轍。
最初のきっかけがどれだけ小さくとも、ゆっくりと確実に広がっていく。
大きなうねりの呼び水として。
075:捨てられない (92文字)
人から見てなんでもないもの。人から見ても価値のあるもの。
思い出とか理由のあるもの。特に理由なんてないもの。
買ったらその分収納場所が減るのは当然の事。
でも、それでも、なかなか手放せない。
076:盾 (90文字)
防御の象徴って思われてるみたいね。確かに守りって印象はあるけど。
同じ防具なら、鎧の方が守れるし、鎧よりも攻撃的なのにね。
そう。鈍器になるでしょ?
……わたしみたいってどういうことよ。
077:正しい道 (124文字)
こっちは早く行けるよと教えられた場所は通れなかったり、遠回りだよと忠告されたけれど思ったよりも早く着いたり。楽だと思っていたら険しかったり、予想以上に手こずったり。
誰かにとって楽だからって、他の人が楽とは限らない。
人によりけりとはよく言ったものだ。
078:魔力 (77文字)
そびえ立つ山の威容や身の竦むような瀑布とは似て非なるもの。
光を閉じ込めた宝石や玲瓏たる佇まいの刃。
見ているだけで圧倒され、心奪われる力。人を狂わせる魅力。
079:つぶやき (81文字)
何も無いとこでこけた、忘れ物をした、大嫌いな犬に吠えられた。ああ、なんてついてない。
100円を拾った。欲しかったものをもらった。あの人に、会えた。あれ? ついてる?
080:感触 (91文字)
気に入らない気に入らない。どうして思い出してしまうのか。
思い出すつもりなんてないのに忘れられない。
掴まれた腕とか撫でられた頭に名残を求めるなんて。
我ながら、そんなキャラじゃないのに。
「描写する100のお題」お題提供元:[追憶の苑] http://farfalle.x0.to/