1. ホーム
  2. お話
  3. PA
  4. 受け継いだものは
PA

受け継いだものは

G.こんなの日常茶飯事だ。探し物に集中する。

 言っては悪いが、こういう悲鳴が上がることはPAでは日常茶飯事。
 またかと思いつつ、アポロニウスは探し物に集中した。
 外から聞こえる悲鳴が大きくなろうとも。
 これだけ探してるのに見つからないのが変だなと、それだけで。

 集中が途切れたのは良く知った気配がしたから。
 軽いノックの音に、すこし引きながらも応える。
 入ってきたのは案の定、見慣れたその姿。
 青いローブに映える銀の髪。浮かべた笑みがひどく恐ろしい。
 これは、師匠が一番怒っているときの笑みだ。
「アポロニウスさん」
「は、はいっ」
 背筋がぴんと伸びる。
「ちょっといらっしゃい」
「は……はい」

 その後、アポロニウスはお師匠様からこってりしぼられた。
 どうやら彼の探していた勾玉は内部に魔物を封じられていたらしく、先ほどの悲鳴は勾玉から開放された魔物が大暴れしていたらしい。
 確かに持ち主は自分だけど、これを渡したのは父親だという弟子も、管理責任を問われては言い返すことができず、延々とお師匠様からのお説教は続いた。

 死んだ人に罪は無いというけれど、悪く言いたくはないのも確かだけれど。
 本当にあの親はと思うことは止められなかった。

 おしまい。

EDは4種類あります。ちなみにシークレットはありません。
人気投票に参加してくださった方々、本当にありがとうございました!