年の差カップル
家庭教師と教え子。院生と高校生。――大人と、子供。
だからなのか、ヴァルはいつもわたしの少し先を歩こうとする。今でも。
わたしは強い魔法を扱えて、みんなを守れるだけの力があって……なのに。
命の危険を冒して聖剣を使って、助けてくれる。
まだわたしが知らない魔法をヴァルは知ってるだろうし、知識に関して敵うなんて思わない。
でも、ヴァルはわたしのせいで巻き込まれたのに。
わたしのせいで、指名手配までされて。
ごめんなさい。
そう、よく思っていたけど――
あの出来事が終わってから、やっと元の生活に戻れたような今になっても、まだヴァルは変わらない。
先回りをして、少し前を歩いて、危険からわたしを遠ざけようとする。
守られてる――子供だから。わかってるけどやっぱり悔しい。
大人になれば、この距離は埋まるのかな。
殺伐カップル
一つ二つと策を練るのは己がため。
三つ四つと策を弄するのは彼女がため。
主神の走狗となり、人の世を駆け導く彼女がため。
ミッドガルドが混乱すればするほどに、優れたものたちが現れ旅立っていく。
戦乙女の導く先へと。
彼女の活躍は自分にとって利に適う。
いや、近頃は目的が入れ替わってきているか。
それも、一興。
特殊な培養液に浸かった神の似姿。
愛しい女神の器となるものも順調に育ってきている。
そろそろ次の策を使おうか。
久々にかつての級友――メルティーナに会うのもいいだろう。
くつくつと笑いながら死霊術師は自らの塔を後にする。
遠くない未来に、この塔へと女神を迎え入れる事を謀りながら。
「7つのカップル」お題提供元:[fisika]http://mblg.tv/fisika/