それはこっちの台詞
お人よし。
間違いなくあいつはそういえる。
たとえば、子どもに甘い。特に甘い。
雨に打たれている姿でも見ようものなら、あっさり手を差し伸べるだろう。
ただでさえ子どもを犬猫のように拾うことだし。
今は敵対してる相手何ざいないが、もし仮に『敵』が子どもを使ってきたらどうするんだ。
あっさり罠に引っかかる気がするぞ。
いや……罠と知っていても、か。
「危なっかしい奴」
ため息混じりに呟きがもれた。
ため息とともに呟かれた言葉。
私に聞こえているとは思っていないんだろう。
『危なっかしい』
そう思われるのは心外だ。
だって彼のほうが危なっかしい。絶対。
私のことを甘いというけれど、一度心を許した相手に対しては、彼のほうが甘いと思う。
それに、あんなに大怪我を何度もされたら……危なっかしいどころじゃない。
「無茶ばかりするんだから」
後ろから聞こえてきた声。
互いに相手のことを言っているんだろう、その言葉。
ただ前を向いて歩く彼は、こう思う。
どっちもどっちだ。
二人と違い、声に出すようなことはしないけど。
お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/
ラシェから見たディアナ。ディアナから見たラシェ。そして、セキから見た二人。
なんだかんだで三人ともお人よしな気はしますけどね。