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面倒だと思ってた

 空が遠い。
 ユーゴは空を見上げるたびに思う。
 イースが空に浮上して、数年しか――数年も、かもしれない――経っていないのに、空が近いことに慣れていたのだと気づく。
「ユーゴ君!」
 呼び声にそちらを見れば、早く早くと誘うようにユニカが手を振っていた。
 会話はもっぱらこれから向かう畑のこと。
 今は何を植えているのか。もう少しすれば収穫できるであろう野菜や果物について。どうやって料理したら良いかとか、どんな味がするかと楽しそうに話す彼女に相槌を打つ。
 そういえば、と考える。
 いつからかユーゴは他人と関わることを避けるようになっていた。
 ファクトを継ぐ為にやらねばならないことはたくさんあったし、時間が惜しかった。
 あの頃の追い立てられるような焦燥感が薄いのは、色々なことが変わったからだろうか。
 女神の捜索隊に入らなければ、変わることはなかったのだろう。
 たとえば、彼女とこうやって話すことだって。
「どうかした?」
「いや」
 なんでもないと返せば、不思議そうにしながらも笑い返してくれる。
 ユニカ=トバ。神官の家に生まれたのに魔法が使えないという。
 自分に置き換えればぞっとしない状態だというのに、彼女はとても明るい。
 こうして状況が変わった今では、むしろ頼もしいともいえる。
 右も左も分からない――とまではいかないものの、かなり勝手のわからない現状ではとくに。
 『最近、よくユニカさんと一緒にいるね』
 そういったのはリコだった。そういえばそうだと思わされたと同時に、何か文句を言われているような気がして言い返したユーゴに、彼は笑いながら返してきた。
 『いいことだと思ったんだよ。前のユーゴはあまり人と関わろうとしなかったから』
 それに関しては言い返せない自覚はあった。確かに以前の自分なら。
 人と関わるのを面倒と思っていた節がなかったとは言えない。
 幼馴染で、自分のことを分かってくれているリコやミュシャならいざ知らず、ただ同じ六神官の家系だからといって、わざわざ仲良くしようとは……もっと知りたいだなんて思うことはなかっただろう。
「ユーゴ君、なにか考え事?」
「いや、ちょっと」
 言える訳がない。何を考えているのか、なんて。

 ユーゴは知らない。ユニカもきっと気づいていない。二人を見守る視線があることに。
「あらあら」
「まさか、私のご先祖とサラのご先祖が……?」
「レア。俺はいつまで目を閉じていれば」
「しーっ」
 そんな、ファル学時空でお送りしました。

Twitterお題より。
ユゴユニへのお題は
・喧嘩ップル ・特別になりたい ・真っ暗な中で ・面倒だと思ってた
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