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生涯でただ一度

 森を通って丘の上へ。
 いつの間にか習慣になっているこの『散歩』。

――雨は体に悪い。早く家に帰ることだ――

 見下ろした先には手付かずの瓦礫。
 不恰好だとは思うけど、多分きっと人が近寄らない方がいいと思う。

――それに……こういうこと初めてじゃないから、何か力になれるかもしれないわ――

 ここは昔、古い遺跡だった。
 『この地を聖地にする』と移り住んできた人たちがいて、きれいに補修されていた時期もあったけれど。

――ちっこいけど男だぜお前も!――

 村のみんなが連行されて、無理やり働かされていた場所。
 そして、旧神が封じられている場所。

――我を封ジシ人間ドモニ破壊ト混乱ヲ!――

 不謹慎だと思ったけど、それでも興奮していた。
 昔胸躍らせて聞いていた伝説が、目の前で再現されていたから。

――我ら今より邪悪を断ち この地に再び安息をもたらさん!――

 目を閉じれば今も鮮やかに思い出せる。
 黒い剣と白い雷。そして赤いあの人。
 もしかして、いや、絶対そうに違いない。
『あの……もしかしてあなた方は』
 問いかけに言葉は返らなかったけど、何よりその顔が語っていた。

 ここに来る時にはちゃんと花束をもってくる。
 あの日亡くなった人のために。
 森が途切れる丘に慰霊のように立っている塔に捧げるため。
「あれ?」
 思わず呟いたのは、それに花輪が飾られていたから。
 ここに来る人なんていないはずなのに。
 一体誰が……
 もしかして。
 丁度見張らせる位置にあるから、あちこち見てみるけど……やっぱりそんなに上手くいかないか。
 雲の上の人たちに会うなんて、たった一度だけでも珍しい事は分かってるけど。
「また会えますように」

語り部クロン。ようやく書けましたよー。生涯でただ一度の出会いって感じでしょうか?
このタイトルでらぶ要素を望んでいたかた、おられましたらすみませんー。
さて……本当に次は誰で書こうかなー?

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/