本能に染まれ
眠っていたはずだった。もうずいぶんと長い間。
暗く冷たい、でも静かな場所で。
ゆらゆらと微睡むように眠りが浅くなったのはいつの頃からだろうか。
浅い眠りの中、見たのは夢。
青い空とどこまでも続く海――そして、影と炎の悪夢。
轟音も怨嗟の声も、どんどん強くなっていく。
『……め…………し………………み…………へ………』
身の内から湧き出る声に導かれるように見上げれば、はるか遠く綺麗な青。そのさらに向こうに、蜘蛛の糸のように細い光。
言葉にできずに漏れた空気が、泡となって上っていく。
視線でそれを追っていけば、青を何かが遮った。
何か……いや、あれは知っている。――あれを知っている。
にぃとソレは嗤った。昏い歓喜が湧き上がる。
『冷……キ…………沈………………底……』
あれをここに連れて来よう。あれも仲間にしてしまおう。
共に沈んでしまえばいい。
『沈メ沈メ……冷タキ深海ヘ……深ク深ク海ノ底ヘ……』
ゆらりとそれは上っていく。深海の底から水面へと。
そうしてかつてのように海を行く。獲物を求めて。
『沈メ沈メ沈メ沈メ』
――鎮めて。
お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/
ネタ元はMIボスのBGMです。まさか艦これで二次創作しようとは。まさか最初に深海棲艦側の方を書こうとは。