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奇妙な関係

 キィ
 扉を開けると、途端に広がる酒場のざわめき。
 中を見渡して目的の人物を探す。
「ディアナ!」
 彼の方が先に見つけてくれたらしい。
 呼び声の方へ視線をやれば、鎧と外套を外した楽な姿の仲間が目に入った。
 丁度料理を運んできたのだろうか。
 彼のそばにいた給仕の娘が私を見て困惑したような表情を見せ、どこか慌てた感じで離れていった。
 テーブルについた瞬間を見計らって、ラシェが聞いてくる。
「なんかあったか?」
「見かけたって人がいたわ」
「ほぅ?」
 パスタをからめたフォークを置いて、本格的に聞く体制に入るラシェ。
「二、三日前に立ち寄って……行き先まではわからないけど」
「そうか」
 誰のことか、なんて確認は必要ない。
 私たちが探しているのは、かつて一緒に旅していた仲間。
 とある事件で再会したけど、彼は一人で先に行ってしまったから。
 今こうやって、足取りを辿りつつ彼を探している。
 町に着く度に宿や酒場で行方を聞いて回って……あれからどれだけたったのかしら?
 ぼんやり考えてると、ラシェの呟きが聞こえた。
「セキの野郎、手間かけさせやがって」
 言い方といい声音といい、なんだか子どもが拗ねているよう。
 思わず笑ったら恨めしそうに睨まれた。
「まだ……会いたくないのかしらね」
「あいつ、人をからかって遊んでんじゃねーか?」
 矛先を逸らそうとして言った言葉に、ラシェは面白くなさそうに返す。
 仲間なのに。仲間だから。
 追って追われて。逃げて逃げられて。
 この追いかけっこはいつまで続くんだろう。
「絶対見つけ出してやる」
 小さく決意表明して、ラシェはまた食事に戻る。
 見つけて何をするかなんて、特に考えてもいないんだろう。
 だってラシェの目的は『また三人で旅をする事』なんだから。
 セキはその事を知らないのだけど。

 まだしばらく続くんだろう二人旅。
 でも……いつまでも逃げ切れるなんて思わないで?
 そう心の中で仲間に語りかけ、祈る。
 またいつか、三人旅に戻れるように。

「赤」の後くらいの時間軸でディアナ視点。
セキはしばらくはのらくらと逃げるような避けるようなことしてて、ラシェとディアナは探す羽目になるんだろうな、と。
いつもにまして短いのは……気のせいって事にしておいてください……

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/