1. ホーム
  2. さぁ、どっちお話
  3. しんせつ
  4. さぁ、どっち
しんせつ

さぁ、どっち

 空と現は姉妹である。一卵性の双子である。
 世間一般の双子と違い、共に育ったと聞かれれば首をかしげなくもないが、仲のいい姉妹という評価は下るだろう。
 とはいえ、主に表へ出ていた現に一卵性の双子の姉がいることを知っている者はとても少なかった。せいぜい彼女の兄弟と祖父くらいだろうか。
 そして、彼らは気づかなかった。現にそっくりな双子の姉がいるという問題に。

 気づかなかった原因としては、今まではあまり行動範囲がかぶらなかったからだろう。
 なにせほんの数か月前まで空は幽霊だったのだから、妹のいるところへ着いていっても誰も何も言えない。というより、まず姿が見えないのだから気づきようがない。
 そして、現の立場も問題だった。
 ほぼ名誉職とはいえ、PA所属の彼女は機密に関わる率が高い。毎日のように機密書類を扱っていることも珍しくない。
 そんな彼女にそっくりな、組織に所属していない人間の存在は、とてもとても面倒なことを明らかにしてくれた。

 事の始まりは、資料を渡し間違えてしまったが故だ。
 現の確認を取らなければいけない書類を空に渡し、なおかつすぐに確認してくださいと言ってしまった職員がいた。
 そこで、空本人が違うと申告してくれたから、まだ大事には至らなかったものの。
「対策を何もしてなかったのは問題だろう!」
「本人確認の方法、どうします?」
「魔力波動は?!」
「この前調べたところ、簡易検査じゃ同じでした」
「むしろよく今まで放置していたというか」
「まずいですよ! 賢者様をお姉さんと間違えるのは間違えた本人が恥をかくだけですみますけど、お姉さんと賢者様を間違えて機密情報漏らした日にはっ」
 わいわいと騒がしい職員たちを遠目に見つつ、空ははらはらと様子を伺い、現はのんびり構えていた。
 姿かたちはそっくりでも、浮かべる表情は違うのにな。
 そう思いつつ、口には出さない鎮真だった。

表情豊かなのが姉で基本笑顔なのが妹。素で妹と間違われる姉と、故意に相手をだます妹。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/