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目と目で会話

 目は口ほどにものをいうとは聞くけれど、カクタスがそれを実感したのは割と最近だったりする。
 PAの仕事上、どうしても意志疎通を速やかに行う必要が出てくる。
 それでも他チームに比べれば、先輩がいない新人だけの、しかも元からの知り合いとあって、チームワークだけはそれなりにとれていただろう。
 けれどやっぱり、アイコンタクトで色々とやってしまう先輩たちにはかなわないと思うのだ。
「すごいよなぁ」
 思わず漏れた感想に、シオンが不思議そうな目を向けてくる。
 彼は感情が比較的出やすい。もっとも、『貴族』としてふるまっているときはそうでもないのだが。そして、カクタスも分かりやすい方だろう。
 そんなことを思いながら、カクタスが先ほどまで考えていたこと――先輩すごい――を要約して答えれば、なぜかシオンは呆れた様子を見せた。
「なんだよ、その顔」
「いや……そりゃあ……仕事上でもやってるんだろうけどさ」
 歯切れの悪さにカクタスは首をかしげる。
 仕事上でも、ということは、仕事以外でもともとれる。そりゃあ仕事以外でもアイコンタクトすることはあるだろうと思って、そんな場面を思い返してみる。
 例えば、と記憶をさらって……頭痛がした。比喩的な意味の方で。
 視線を上げれば、神妙にこちらを見ているシオンの姿。
 多少ひくつきながらも笑い返せば、彼も頷き返す。
 言葉を必要としなくても意思疎通ができるのは便利だし、ある意味羨ましい。
 でも、羨んでたのも望んでいた状況も、こういうのじゃないんだ。

まだまだいろんなアコガレを保ち続けているカクタスとかなり擦り切れてしまったシオン。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/