1. ホーム
  2. まるで絵のようなお話
  3. ナビガトリア
  4. まるで絵のような
ナビガトリア

まるで絵のような

「1.2.3.4.
 ほら足元見ちゃ駄目よ」
「う……はーい」
 とか注意したものの、やっぱり視線は足元をうろうろ。
 やっぱり難しいのかな?
 まあ……男性のステップは難しいって言うし。
「視線はパートナーに、背筋はまっすぐ」
「むー」
 ダンス・ステップはそこそこ厄介。
 それに問題もあるんだろうけど、一番の問題はこの身長差。
 あたしが十六でシオンは十歳だから、コレばっかりは仕方ない。
 つーか踊りにくいのはあたしなんだけどねー。
「ほらほら。ダンスは殿方がリードするものでしてよ?」
「ちゃんと立派にして見せます! ……いつか」
 こそっとつけたし、視線を逸らす。
 あーもう可愛らしいったらッ!
「公女。公子が苦しがられてますよ」
「あらいけない」
 思いっきり抱きしめてたよ。
 久々に可愛らしい発言してくれるものだから、つい。
「もーっ 姉上は明日デビュタントでしょ!?」
 そう。明日は社交界デビューの日。
 うちはこんなでも国内有数の大貴族。出ないわけにはいかない。
 どれだけ嫌でも。
 だから明日に備えてダンスの練習をしなきゃいけないんだけど。
「でも薄は踊れないし、おじいさまがお帰りになるまでお願いね?」
「むー」
 からかったのが悪かったのか、ふくれっつらのままにそっぽ向くシオン。
 怒ってるんだろうけど、可愛いだけだよ。
 このままじゃ仕方ないからモノでつってみるか。
「おみやげにミロワのトルタチョコラートなんていかが?」
 首都で一番おいしいといわれるケーキ屋さん。
 コレにはシオンも機嫌を直すだろうと思ったけど。
「……メリオルのアフタヌーンティが欲しいです」
「まあちゃっかりさんね」
 ほんとーにねだるの上手いな。
 お気に入りの茶葉とはいえ、近所に店が無いから滅多に買えない銘柄だもんね。
「じゃあスコーンも買ってきてティーパーティしましょうか?」
「はいっ」
 うーん。出費は確実に増えたけど、まいいか。機嫌直ったし。

 一曲終わった時点で思わず呟いた。
「上手くなりましたわね」
 あたしの賞賛にもシオンは口の端を軽くゆがめるだけ。
 いつまで伸びないのかと少し心配していたものの、身長はぐんぐんのびて、今はあたしがちょっと視線を上げるくらいになった。
 あれから七年たってるから、当然といえば当然だろうけど。
 ゆったりとしたワルツのリズム。
 きちんと燕尾服を着こなしたシオンと、珍しくも淡いピンクのボールガウン姿のあたし。
 何でこんな事になってるかって言うと……うん。
 迷惑かけたからその謝罪代わりにモデルする事になったんだっけ。
 しかし洋服屋で何やったんだか。
 踊ってるあたしたちの周りではカメラマンやら見物人やらがごちゃちゃしてる。
 それは全然気にならないんだけど。
 ちゃんとあたしをエスコートしてるシオンが大きくなったんだなぁって感じかな。
 ……次に避けられないパーティに呼ばれたときにはシオンを連れて行こう。

 出来上がったポスターはCG効果も入ってばっちりで。
 それからしばらくの間、ディエスリベルにすらあたしの安住の地は無くなった。

ナビガトリアで「コスモスとシオン」とのリクエストを頂きました。時間的に本編開始前と終了後ですね。
ぽっと浮かんだのが社交ダンスの絵だったのでそれっぽく。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/