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ナビガトリア

表の顔と裏の顔

 同窓会があるっていうから出てみれば……案の定。
「久々にあったと思ったら、それか」
「何よー。だって知りたいじゃない?」
 かなり酔ってるんだろう。
 あやしい喋りのままに芹が先を続ける。
「あのコスモスが公女様だったってだけでも驚きなのに、矢羽がボディーガードだっていうんだもの」
 つまりはそういうこと。
 無論他の連中もたしなめることなんて無く、興味津々の顔で注視してる。
「公女らしいあの方を知らなきゃ、確かにそう思うだろうけどな」
「あの方だって!!」
「びっくりしたー。ちゃんと護衛やってるのね」
 ため息交じりに言えば、それだけでも周りは騒がしい。
「あーじゃあさ! 今度ドレス姿のコスモスの写真とってきてよ」
「その辺の週刊誌が貴族の特集組むだろ」
「コスモスって恋人いるの? 王子の恋人って本当?」
「公女の理想は天より高くてね。
 おじいさま……スノーベル公爵に勝るような相手じゃないと駄目だそうだよ」
 嘘もいい加減お手の物。
 まあ公女の好みに関して詳しくは言わないが、一応嘘ではないし許容範囲だろう。
「じゃあ」
「あんまり調子に乗るなよ?
 いかな私事だろうと、主を馬鹿にするなら容赦しないぞ?」
 おどけるように言うけれどそれは事実。
 人好きする仮面は相手を油断させるのに良い。
 相手は大切な事をそれと気づかずに漏らしてくれる。
 自分がそれをする訳にはいかないが。
 だからこそ。しつこく食い下がってきていた芹だけに聞こえる声量で。
「仕事が欲しいからクラスメイトを売るのか?」
 見間違えようも無く大きく肩が跳ねた。
 案の定というか、分かりやすいというか。
「何も調べてないと思ってるなら、甘すぎるよ。
 たまの便りと想い出をなくしたくないならそれ以上口を開くな」
 声だけを変えていってやれば、逃げようとしたのか慌てて立ち上がり、足がもつれてそのまま芹は派手にこけた。
「何やってんだ芹ー」
「大丈夫?」
「酔い過ぎたんだろ」
 しまったしまった。少々裏を出しすぎたか。
 痛がってる芹を気絶させて口封じ。ほら寝てるしといいつつ、他の奴に後を任せる。
 そこ、鬼だとか人でなしとか言わない。これも任務の一環だ間違いない。
 隠ぺい工作さえ済ませてしまえばただの飲み会に戻る。
 明日芹が何を言おうと、夢の中のことで終わらせる。

 そーいえばそんなことしたなぁと思い出すと、目の前の公女はたいそう怒ってらした。
「で。結局芹に何したわけ? もしくは何言ったわけ?
 月に一度は電話くれてたのにもう三ヶ月も音沙汰なしよ」
「仕事が忙しいんじゃないですか? 公女と違って」
「やかましい。だいだい同窓会の後からって言うのがどう考えてもおかしいでしょうが!
 あたしがいない間に一体何をやらかしたのよ」
 ちょっとからかいすぎたか、鋭い視線と共にきつい指摘も飛んできた。
「とんでもない。公女のゴシップを面白おかしく話す相手がいたから、ちょーっとお茶目に小突いただけですよ」
「おちゃめとかぬかすな気色悪い」
 本気で顔色変えられるし、そんなに気持ち悪いのか?
 少し腹が立ったから、なおもお決まりのネタでおちょくる事にする。
「ただ確かにそろそろ公女もお相手を」
「オーケーオーケー表に出ろ」
 言うが早くたくさんの魔封石を取り出す公女。
 うん。
 やっぱりこの人の下につくのは楽しい。

自分でも書くならこいつだろうと思っていたら、アンケートでもこいつの登場を望まれました。薄君。
作者が言うのもなんですが、一番動かしづらいんですよッ
この人は上司をからかっている時が一番輝いているんでしょう。
そしてたまに手痛い反撃(主に桔梗の悪意ない一言)食らうんでしょう。

お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/