類は友を呼ぶ
今日も今日とて団長の叱責が飛ぶのはチームアルブムに対してのこと。
無論彼らへの期待が大きいからというのもあるが、何せ彼らときたらやる事なすことすべて派手。失敗時は無論のこと、成功の時も派手。
最近の話題で言うならば、入団一年目にもかかわらず凶悪犯の逮捕をしてのけた。
「やっぱり派手だよねぇ」
報告書をぱらぱらとめくりつつ、ついついごちる。
でも、ごちりたくなっても当然だよ。
成人するまで……この国でいうなら高校を卒業する十八になるまでは、大人しく裏方の仕事をさせるはずだったのに。
例えばイベントでのPR。各支部へのお使い。その程度の簡単な仕事。
だというのに実際は……
「囮役をやらせたら、何故かテレビ局までやってくるし……
大人しくしてられないのかなぁ」
ため息混じりに呟いても、答えなんかありゃしない。
もっとも部屋に一人きりだし、逆に返事が返ってきたら怖いけど。
これでも彼らに回す仕事は十分慎重に選んでいるのに。
派手にならないように、地味めの仕事ばっかりを選んでるのに。
何でこんなになるんだろうな。
しかも最近した拾い物は『銀の賢者の弟子』という、またまた派手な人物。
性格などはわからないが、鮮烈な赤い髪という派手な見た目の青年だった。
「野球なんかじゃ新人の当たり年とかあるみたいだけど……この業界にもあるのかね」
年々先細っている魔法使いの人数。
それに反比例するかのような質の良さ。
楸は言うまでもなく精霊術士として天才だ。
梅桃は魔法の使い方が上手い。どのタイミングで、どう使えば一番効果が得られるか。それをよく知っている。
未熟といわれるカクタスだって、最近は一つ二つ光魔法を覚えてきている。
光の魔法の使い手はすくないから後々重宝されるだろう。
何の因果か巡り合わせか、今度アルブムに配置される事になった赤毛の彼は賢者の弟子という以上に過去の人間。つまり、今は失われてしまった魔法が扱える。
「なんて言うか……変わり者のそばには変わり者が寄って来るものなのかね」
彼らを率いるシオンはきっと、今以上の苦労を続ける事になるだろう。
そして彼らと付き合い続ける限り、自分も。
パタンと報告書を閉じて、脇にどけてあった本を開く。
偉大なる先輩の、苦労のしみた日記。
何故だかその状況が今の自分の重なっている気がする。
何としてもと手に入れた優秀な魔導士。
秘蔵っ子としてゆっくりと経験をつませていくはずだったのに、あれよあれよという間に表舞台に出てしまった。
「まあ似てて当然か」
苦笑を浮かべて本を閉じる。
その年も今のように芋づる式に優秀な魔導士が次から次へと入ってきたという。
例えば風の御使いジニア。光の歌い手エドモンド。
彼らを率いていたのは火の支配者。
名をエドワード・テラ・レクス・スノーベルと言った。
お題提供元:[もの書きさんに80フレーズ] http://platinum.my-sv.net/
孫が孫ならじーさんも、というより、おじいさんがああだからこその孫。
じじ世代を書いてみたいような……ツッコミ役がいなくて苦労しそうな……